「お酒にまつわる商標権のお話」
近頃、いろいろなお酒のラベルを見かけることが増えたように感じます。
お酒は日本人にとって身近なものであり、多くの需要があるからこそ供給があり、多種多様なお酒が生まれているのでしょう。
ところで、その多様な選択を与えられる世の中で、私たちは何を基準にそのお酒を手に取るのでしょうか?
また、お酒を提供する各メーカーは自社商品を選ばせるためにどのような戦略をとっているのでしょうか?
ここでは、私たち消費者目線ではなく、供給者の視点立って日常に潜む戦略について掘り下げて考えていきましょう。
Contents
お酒とブランド
消費者に当たる私たちは、「値段」「味」「見た目」などを基準にしてお酒を選ぶことが一般的なように思えます。供給者はそこに着目して、「安さ」を追求する価格戦略や「おいしさ」を追求する研究戦略をとってきました。商品が多様化する近年においては、いかに選ばれるかが重要となってくるため、供給者は消費者と初めて接する部分、つまり「見た目」という要素に着目するようになってきました。
この見た目を追求する戦略がブランディング戦略と呼ばれるものです。
ブランドというのはあいまいな概念である一方、一度確立してしまえば、消費者にある種盲目的な信用を与えることができます。
これは高級腕時計や高級車などが最たる例で、あのメーカーから出ているものなら、「信用できる」・「品質がいいものだ」といったように、たとえその本質がどうであれ、消費者は無条件に信用してしまうのです。
ブランドというものがここまで強い観念を与えることから、これを悪用して他人が築き上げたブランディングイメージに乗っかり利益を得ようとするものが現れることは必然といえるでしょう。
こうしたいわゆるフリーライドに対して、ブランドがあいまいな概念に過ぎないからと言って何もできないのでしょうか?
答えはノーです。
実はこれを保護する法律があり、それこそが「商標権」と呼ばれるものです。
商標権とは
商標権とは
名称を保護する法律であるが、同時に目には見えない商品やサービスに結び付く需要者からの信用といった曖昧な概念をも守ってくれる
と言えます。
この法律の保護により、たとえば、先のブランドイメージにただ乗りする者に対して特許庁に登録されていることをもって法的な措置をとることが可能となります。
商標権の出願は自身で行っていただくことも可能ですが、場合によっては法的な知識が必要になってきますので、弁理士を代理として出願されるのが一般的です。
この出願という手続きを踏み商標という権利を確立させることで
・模倣する他人に対して攻撃
・他社にまねをされないという防御
を両立させることができます。
この信用という曖昧な概念を保護できる商標権という存在を知っている企業はこの法律を賢く活用しています。
※出典 特許情報プラットフォーム より
ビールといえばこのマークを思いつく方も多いかと思います。商標の利点とはこのように
「~といえば」コレというように需要者の記憶に植え付ける確固たるブランド力を取得できる点です。
商標法もこうした権利の保護の元、保護できる期限を有限にしていません。更新すれば実質無限ですので、上記のロゴは現在も法的効力を有する商標なのです。
模倣という現実的リスク
ブランド力の確保というメリットのほかにも模倣に対するリスクを減らせるというメリットもあります。
ブランド力を手に入れて有名になってくると、その名称にあやかろうとする人が出てきます。
商標の模倣は特に何かを作る必要もなくどれだけ複雑にしても今の時代コピーペーストでマネができてしまいます。
もちろん、商標権を取得することによって模倣を完全になくせるということはないのですが、商標権を取得すること、法によって守られることでブランドをより確かなものとすることができます。
逆に言えば、商標登録をしていないという状態はたとえ自分(自社)のマークや文字であっても法的には守られていないということになります。
つまり、マネされ、先に他人(他社)によって商標登録された場合には、自分(自社)のマークや文字の使用をやめるように警告を受けるリスクさえあります。
商標というのは原則的に先に出願をし、登録を受けた者がその商標を正当に使用する権利を有するからです。
まとめ
さて、お酒を例に世の中にあふれる隠れた商標について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。商標はブランドと密接なかかわりを持っていることを理解いただけたのではないかと思います。弊所では多数の商標出願実績がございますので、その経験を生かしてお客様の権利化を全面的にサポートして参ります。
商標を決定する前の「こんなネーミング(ロゴ)でも大丈夫かな」、「この商標はどうかな?」というような段階からで問題ございませんので、まずはお気軽にご相談ください。 ご相談はこちらから