商標権の識別力
商品やサービス名を保護する商標権は、登録し、更新し続ければ、永続的に貴社のブランド名として使い続けられることや権利のメリットデメリットなどブログ「商標権の効力を考える」でお伝えしましたが、どのような商標でも登録できるわけではありません。
今回は商標が登録されるための要件についてお話します。
Contents
商標権の識別力
商標登録のための要件
◇ 同一・類似商品について、他社の登録商標などと同一・類似ではない
◇ 識別力がある
=その商標が他の商品やサービスの商標と見分けることができること
指定商品・役務について一般的に使用される名称等は識別力は低いとする。
一般的に使用される名称等ではない場合は、識別力は高いとする。
識別力がないとは?
1.商品やサービスの普通名称は ×
× 商品「みかん」 商標名「みかんちゃん」 |
2.慣用商標は×
普通名称ではないが、同業者間で使用されていた場合 ×商品名「清酒」について、商標「正宗」 |
3.商品の産地、販売地やその商品の特長や品質、効能、時期、形状などをあらわす商標は ×
×商品「みかん」に商標「岡山」 |
4.ありふれた氏または名称は ×
「田中」、「山田」、「鈴木」など多数の同種の氏は × |
5.きわめて簡単で、かつありふれた商標は ×
直線や、円、数字やローマ字が1か2字、仮名文字1字は × |
6.その他、需要者が何人かの業務にかかる商品・役務であることを認識できない商標は ×
Ex.キャッチフレーズ 拒絶例・・・「キレイと元気」、「賢い選択」 |
識別力グレーゾーンで登録された例
しかし、識別力が低そうに見えても、商標登録される例もあります。(IPP国際特許事務所出願登録例)
「サロンまるごとサポート」
「美容乾物」
「京都ステイ」
「体温管理士」
「肉塊ハンバーグ」
「フェースカード」
「帰国子女アカデミー」
その商標を使用する場合は、識別力がグレーであっても商標出願をすべきです!
もし他社が先に商標登録してしまったら、その商標をビジネス上で使用できなくなってしまいます。
もし、商標出願せずに、その商品名で容器やパッケージが完成し、店頭に並び、チラシや広告まで展開した後に、他社から指摘された場合は大変な損害となることは想像できますね。
よって、識別力がグレーの商標を使用する場合は、他社に登録されてしまうことを回避するために出願をすべきです。仮に、※拒絶査定になっても、他社が後から出願して商標登録されている可能性は非常に低いので、安心してその商標を使用できます。また、識別力がグレーの商標を登録できると、その名称を商標権者のみが商標として使えるので、大きなビジネス効果を得られることもあります。
※拒絶査定
審査の結果、審査官が出願を拒絶する場合に行う査定のことをいいます。(特許法第49条)。拒絶査定に不服がある場合には、拒絶査定謄本送達の日から3月以内に、拒絶査定不服審判を請求することができます。
ターゲットにリーチしやすいネーミングの工夫を
ターゲットや消費者に関心や五感を訴求し購買喚起されるようなネーミングを考案することが重要です。
キャッチーである
覚えてもらいやすい
商品特性を伝えている
ターゲットにマッチしている
世の中には成功している例がたくさんあります。
熱さまシート、ガリガリ君、プッチンプリン、さくさくぱんだ、キャンメイク。。。
バファリンの商標権譲渡で、304億円の値がつきました。アパレルブランドアクアスキュータムの商標は56億円でした。
オリジナリティあふれたネーミングをつけ、商標権登録しておけば、大ヒットした時に大きな価値となります。