Question | Anser |
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■著作権全般 | |
ある作品に著作権があるかないかを知るにはどのようにしたらよいのですか。 | 小説、脚本、論文、作文、講演、音楽、絵画、彫刻、デザイン、漫画、芸術性のある建築物、地図、図形、映画、写真、プログラム・ソフト、それに新聞・雑誌・辞書・事典のような編集物、データベースなどの創作性のある表現物はおおむね著作物です。外国の著作物も、国際条約により、大部分の国の国民の著作物やそれらの国で最初に発行された著作物は我が国で保護されます。また、保護期間が過ぎているかどうかですが、原則的保護期間が著作者の死後50年までという長い期間ですので、利用価値のある作品は利用価値がある作品の多くは著作権がまだあると考えた方がよいでしょう。 |
著作権者を探す方法にはどのようなものがありますか。 | 一般に著作者が著作権者ですが、他人や団体が著作権を譲り受けている場合、著作者の死亡等により配偶者等の親族が相続している場合、著作権管理団体が著作権を管理している場合など著作権の所在や管理の窓口は多様なケースが想定されます。 著作権者を探す方法も様々ですが、著作権者の了解を得て著作物を利用しいる利用者、すなわち出版者、レコード会社、映画・ビデオ会社、イベント会社などにとりあえず問い合わせるのが最も簡単な方法であると考えられます。なお、音楽、脚本、文芸作品などの分野については、著作権管理団体(著作権等管理事業者)が著作権の管理事業を行っていますので、当該団体を通じて利用契約を締結できる場合があります。また、プロの作家等については、芸術文化団体に加盟している場合もありますし、各種の名簿や名鑑などに掲載されている場合もありますので、このような団体や資料を調べることも1つの方法です。 |
保護期間から考えると著作権は存続しているのですが、著作権者を探してもどうしても見つからない場合、どうすればよいのですか。 | 相当な努力を払っても著作権者と連絡することができないときは、文化庁長官の裁定を受け、同長官の定める額の補償金を供託して、その裁定に係る利用方法により利用することができます。裁定の詳細については、文化庁著作権課に問い合わせください。 |
許諾を受けて著作物を利用したい場合、著作者と著作権者のどちらに許諾を得ればよいのでしょうか。 | 著作権者です。 通常は著作者と著作権者は同じですが、他人に著作権が譲渡されたり、著作者の死亡により著作権が相続されたりした場合は、著作者と著作権者は別人ということもありえます。なお、作品の内容に手を加えるなど著作者人格権にかかわるような利用方法の場合は、著作権者でなく著作者の同意が必要となります。 |
管理団体などに管理されていない著作権について、その著作権者の許諾を得るためにはどうすればいいのでしょうか。 | 著作権者の連絡先を探す方法については、特に決められた方法があるわけではありません。 使いたい作品が出版物、CD、映画ソフト、放送番組などで使われている場合は、当該製作者に問い合わせるのが最もわかり易い方法だと思いますが、その他には、所属の機関(大学、企業、役所など)、関係の権利者団体、著作権者がその道のプロであれば、、評論家などの専門家などに照会してみることが考えられます。 |
既に著作者が亡くなっている場合には誰の了解を得ればよいのですか。 | 一般的には著作権を相続した遺族です。著作権は、土地や金銭のように相続の対象になりますから、著作者が亡くなった後は遺族などに相続されているのが一般的です。 |
他人の著作物を利用するときは、すべて著作権者の了解を得なければならないのですか。 | 他人の著作物を利用するときは、著作権者の了解を得ることが原則です。しかし、全ての場合に了解を得る必要があるわけではなく、国の法令、地方自治体の条例、裁判所の判例など著作権法で保護の対象としていない著作物を利用する場合、「私的使用のための複製」など自由利用が認められている場合、保護期間が満了した著作物を利用する場合、国際条約上わが国で保護の義務を負わない外国の著作物を利用する場合は、了解を得る必要はありません。 |
共同著作物の場合、利用許諾手続で注意すべきことはありますか。 | 著作権者が複数の場合、原則として、すべての著作権者から了解を得なければなりません。 通常の場合、著作者は同時に著作権者でもありますから、共同著作物についても、複数の著作者が著作権を共有しており、利用の許諾(著作権の行使)に当たっては、全員の合意が必要です(第65条第2項)。もっとも、著作権法では著作権を代表して行使する者を定めることができるとされていますから、代表者が定められているときは、利用者はその代表者と利用許諾の手続きを行えばよいことになります(第65条第4項)。 |
利益を得るために販売するなどしなければ、著作権者の了解を得る必要はないと考えてよいですか。 | 著作権法により著作権の制限が定められている場合を除き、営利・非営利は関係なく、著作権のある著作物を利用する場合は著作権者の了解が必要です。なお、著作権の制限の例としては、私的使用のための複製(第30条)、非営利・無料・無報酬の上演、演奏、上映等(第38条)などの規定があります。 |
著作権者の了解を得ずに著作物が利用できる場合にはどのような例がありますか。 | まず、国の法令、地方自治体の条例、裁判所の判決など、著作権法の保護の対象としていない著作物は自由に利用できます。次に、「私的使用のための複製」、「引用」、「学校における複製」、「試験問題としての複製」、「点字による複製」、「営利を目的としない上演・演奏・上映・口述」など自由利用が認められている場合には、それぞれ定められた条件の中で利用することができます。このほか、保護期間の切れた著作物、条約上わが国で保護の義務を負わない外国の著作物は、自由に利用できることができます。 |
著作権の保護期間が経過していれば、有名な画家による厳粛な絵画を滑稽なものに改変してもよいのですか。 | 基本的にはできないと考えてください。著作者は、著作者人格権の一つである同一性保持権という権利を有しており、これにより著作者に無断で著作物を改変されないことが保証されています。しかし、この権利は著作者の生存中の権利で著作者の死亡により権利は消滅することになっていますが、著作権法では、著作者の死後であっても、著作者が生きているとすれば著作者人格権の侵害にあたるような行為を禁止しています。この禁止規定は何時までという期限がないので、著作権の保護期間が経過したかどうかは関係ありません。もっとも、時間の経過や社会的事情の変化などによって、その時代の社会が有する価値観は変化するので、改変は一切許されないということにはならないと考えられます。 |
他人の著作物を引用できる限度はどの程度までですか。 | 「引用」とは、例えば自説を補強するために自分の論文の中に他人の文章を掲載しそれを解説する場合のことをいいますが、法律に定められた要件を満たしていれば著作権者の了解なしに著作物を利用することができます(第32条)。この要件とは、[1]公表された著作物であること、[2]公正な慣行に合致すること、[3]報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われること、[4]出典を明記すること(コピー以外はその慣行があるとき)です。[2]と[3]の要件については、少なくとも自分の著作物と他人の著作物が明瞭に区分されていること、引用にいてそれなりの必然性があり、自分の著作物が主で引用する他人の著作物は従たる存在であることが必要と考えられます。これらの要件を全て満たしていれば、著作権者の了解は必要ありません。 |
■WEB関連 | |
ある人の書いたイラストを、自分のホームページに載せる際、著作権者に電話で確認をとりましたが、これで大丈夫ですか。 | 契約は口頭でも有効ですので、電話で著作権者の了解をとれば、適法にイラストを利用できることになります。ただし、口頭の場合は、後日了解された利用方法や条件などで言った言わないのトラブルになる可能性がありますので、できるだけ文書による契約が望ましいと思います。 |
インターネット上で他人の著作物を利用する場合には、どのような行為について権利者の了解が必要ですか。 | [1]ネット上で入手した著作物を利用する場合と[2]自分のホームページで他人の著作物を利用し送信する場合、[3]ファイル交換で音楽などを入手・交換する場合が考えられます。 [1]インターネットで他人の著作物を入手し、自分でそれを私的に複製利用することは自由です。しかし、それを複製し配布するなど私的利用の範囲を超えて利用することは認められません。自分のホームページに取り込んで利用することもできません。 [2]ホームページに他人の著作物を利用することは、複製及び自動公衆送信に該当し、著作権者の了解が必要です。実際に送信が行われなくても、著作物を入力し送信可能な状態にする行為も同様です。 [3]ファイル交換で音楽作品などをダウンロードする行為は、「私的使用のための複製」(第30条)と思いがちですが、一般的にファイル交換の場合は、自分が入手すると同時に公衆に向けて自分のファイルを送信可能の状態に置くことになりますから、権利者に無断で行えば著作権侵害となります。 |
他人の著作物をホームページで使う場合、どのような点に注意したらよいですか。 | 営利・非営利にかかわらず、他人の著作物をホームページに掲載する場合は、一般に著作権者の了解が必要と考えてください。 著作物をホームページに掲載するということは、一般にその著作物を電子的な記録媒体に複製することを意味し、同時にそれは、コンピュータ・ネットワークを通じ他人からのアクセスに応じ、いつでも送信できる状態に置くことを意味しております。また、ホームページに掲載されれば、利用者のリクエストに応じ、当該利用者に著作物が送信されることになります。この場合、原則的には、営利・非営利にかかわらず、著作権者の複製権(第21条)及び公衆送信権(第23条)が働くことになっています。 |
最新のベストセラー小説のあらすじを書いて、ホームページに掲載することは、著作権者に断りなく行えますか。 | どの程度のあらすじかによります。 ダイジェスト(要約)のようにそれを読めば作品のあらましが分かるというようなものは、著作権者の二次的著作物を創作する権利(翻案権、第27条)が働くので、要約の作成について著作権者の了解が必要です。また、作成された要約をホームページに掲載し送信する行為(複製、公衆送信)も元の作品の著作権者の二次的著作物を利用する権利(第28条)が働くので、要約の作成と同時に当該著作権者の了解を得ておく必要があります。一方、2〜3行程度の極く短い内容紹介や「夭折の画家の美しくも哀しい愛の物語」などのキャッチコピー程度のものであれば、著作権が働く利用とは言えず、著作権者の了解の必要ありません。 |
商店街に設置されている彫刻が写った町の写真をホ−ムペ−ジに掲載するとき、その彫刻の著作権者の了解が必要ですか。 | 必要はありません。彫刻は著作物ですが、屋外に恒常的に設置されているものの場合は、販売を目的として複製する場合などを除き、原則として著作権者の了解なしに利用することができます(第46条)。なお、他人が撮影した写真を使用する場合は、撮影者の了解が必要なことは言うまでもありません。 |
著作物をCD−ROMやハードデイスクに蓄積する場合のように、視覚で確認できな場合も著作物の複製になるのですか。 | 著作物をCD−ROMやハードディスクに蓄積することは、著作物の複製に該当します。 著作物の複製とは、著作物が有形的に再製されていれば足りることから、印刷、写真、複写などのように内容を直接視覚で確認できる場合はもちろんのこと、CD、MD、ROM、HDDなどへの複製のように、直接視覚で確認できなくても複製になります(第2条第1項第15号)。 |
著作物を暗号化してデイスクに蓄積するのは複製に該当しますか。 | 複製に該当します。 著作物を暗号化し、それらをディスクに蓄積する行為は、ある著作物を機械的に変換して蓄積したにすぎず、これを元に戻すことも可能ですから、元の著作物と暗号化された著作物の同一性は失われていません。なお、例えば、翻訳の場合は、暗号化とは異なり、人間の知的創作行為が介在しますので、できた翻訳物は、元の著作物の複製物ではなく、二次的著作物として、元の著作物とは別の著作物として保護されます(第2条第1項第11号)。 |
漫画をホームページに掲載し送信するのは、著作物の公衆送信に該当しますか。 | 公衆送信に該当します。 著作権法上、公衆送信とは、公衆(不特定又は特定多数)によって直接受信されることを目的として無線または有線で送信することをいいます(第2条第1項第7の2号)。また、公衆送信の中でも、利用者のリクエストに応じ自動的に送信することを自動公衆送信といい、質問のようにホームページに掲載し、アクセスに応じて送信するのは自動公衆送信の典型的な例です(第2条第1項第9の4号)。なお、ホームページへの掲載は一般に著作物のサーバへの蓄積を伴いますが、一般にこの行為は著作物の複製に該当することになります(第2条第1項第15号)。 |
国や地方公共団体が作成した報告書や白書を利用したいのですが、どうすればよいのですか。 | 国、地方公共団体、独立行政法人等が一般周知するために作成し、その著作の名義で公表した広報資料、調査統計資料、報告書その他これに類する著作物は、「転載を禁ずる」などの転載禁止表示がない限り、説明の材料として新聞、雑誌などの刊行物に転載することができます(第32条第2項)。官公庁の発行するいわゆる白書もこれに類する著作物です。また、刊行物には、CD−ROMのような電子媒体も含むと解されています。なお、転載する場合は出所の明示が必要です。 |
■音楽・出版物 | |
あるミュージシャンと契約してコンサートを開催するのですが、演奏曲は全て当該ミュージシャンのオリジナル楽曲を使います。著作権の問題はないと思うのですがどうですか。 | 一般的に言いますと、アマチュアの場合は問題ありませんが、プロの場合は著作権の管理事業者(ほとんどの場合(社)日本音楽著作権協会)からの許諾と使用料の支払いが必要と考えられます。 アマチュアの場合は、著作権を自己管理している場合がほとんどでしょうから、本人の了解があれば著作権の問題は生じません。しかし、プロの場合は、著作権を直接又は音楽出版社を通じて著作権の管理事業者に委託していることが多く、特に日本音楽著作権協会の場合は、権利の管理は信託の方法によるため、ミュージシャンは著作者ではあるが、著作権者ではないことになり、自分の曲にもかかわらず、許諾を得なければ演奏できないことになっています。したがって、プロのミュージシャンの世界では、コンサートでオリジナル曲しか演奏しないとしても、主催者は同協会と契約し使用料を支払うのが通常です。 |
ある団体の会員のみが参加しているイベントでピアノ演奏をする場合は、音楽の公の演奏に該当しますか。 | 一般に公の演奏に該当すると考えられます。 著作権法上、公の演奏とは、公衆(不特定又は特定多数の人)に直接聞かせることを目的として演奏することをいいます(第22条、第2条第5項)。質問の場合、仮に主催者と会員との間は特定の関係であるとしても、イベントであれば多数の人が参加するでしょうから、一般に音楽の公の演奏に該当すると考えられます。なお、何人をもって多数というかですが、特に人数が定められているわけではなく、著作物の種類や利用の態様などを総合的に勘案して判断されることになります。 |
映像ソフトのBGMにレコード音源を使っていますが、当該映像ソフトを複製すれば、レコードを複製したといえるのですか。 | レコードの複製に該当します。 映像ソフトのBGMにレコードの音源を利用した場合、当該映像ソフトには、レコードが複製されていることになります(第2条第1項第5号、第2条第1項第15号)。したがって、その映像ソフトを複製すれば、音源に使ったレコードも一緒に複製することになります。 |
ある作品を当社だけで独占的に出版したいのですが、そのようなことはできますか。 | 著作権者が承諾すればできます。通常このような場合には、著作権者と出版社との間で、著作権者が他の者に出版の許諾をしないことを定めた契約書(出版権の設定契約または著作権の独占使用契約など)を交わします。これに背いて著作権者が他社に出版を認めた場合には、出版権侵害または契約違反として対処することができます。 |
ある出版社ですが、ある小説家と出版契約を締結し作品を出版することになっていたのですが、都合により出版できなくなりました。この契約から生ずる「作品を出版する権利(ライセンス)」を他社に譲ろうと思うのですが、著作権の問題はありますか。 | 小説家の承諾を得ない限り、「作品を出版する権利」を他社にずることはできません。 誰にどのような条件で出版することを許諾するかは、著作権者である小説家が決めることができます。つまり、A社であれば許諾するがB社であれば許諾しないということあり得る訳です。そのため、小説家の許諾がない限り、出版する権利を譲渡することはできないことになっています(第63条第3項)。 |
ある出版社ですが、懸賞小説で一位になった小説に映画化や翻訳出版の話がきています。投稿規程では「著作権は出版社に譲渡する」となっていたので、我が社の一存で話を進めることができますか。 | 出版社の一存で映画化や翻訳出版の話を進めることはできないと考えたほうがいいと思います。 著作権法では、著作者保護の観点から、著作権を譲渡する契約において、二次的著作物を創作する権利(翻訳、映画化など)(第27条)及び二次的著作物を利用する権利(第28条)が、譲渡の目的として明記されていないときは、これらの権利は譲渡した者に残るものと推定すると定められています(第61条第2項)。したがって、質問のような投稿規程であれば、映画化や翻訳の権利は投稿者にあると考えられるので、それを否定する特段の事情(例えば相場より多額の懸賞金を支払った)がない限り、出版社には権利がないと考えたほうがよいと思います。 |
過去に他社から単行本として出版された書籍を、当社で文庫化して出版しようと考えています。著作権者である作家からの許可は得られましたが、元の出版社の了解も必要ですか。 | 他社と作家との出版契約の内容によります。特に他社と作家の間で出版者に出版を独占する権利を与える出版権の設定契約(第79条)が締結されており、その契約が終了してなければ、作家の了解を得た場合であっても、他の出版者は原則として出版ができません。それ以外の場合は、作家の了解が得られれば、出版できることになりますが、作家と他社の契約の内容によっては、当該作家が他社から契約違反を問われる場合がありますので、注意が必要です。 |
出版については許諾を得ていますが、同じ書物をCD−ROM化して出版したいのですが、どうすればよいのでしょうか。 | CD−ROMによる出版が、当初著作権者から了解を得た利用方法や条件の範囲を超えるものであれば、改めて著作権者の了解をとる必要があります。 |
ある出版社ですが、何十年も前に絶版になっている歴史資料の復刻版を出版したいのですが、どんなに努力しても著作権者が見つかりません。著作権者が見つからないときは出版をあきらめざるを得ないのでしょうか。 | 著作権者の不明等の理由により相当な努力をしても著作権者と連絡することができないときは、文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料に相当する金額を供託した上で、公表された著作物を利用することができます(第69条)。 この制度は、一種の強制許諾制度で、文化庁長官が著作権者に代わって許諾することになりますので、その手続きについては厳格に定められています。詳細は文化庁著作権課にお問い合わせください。なお、実演、レコード等の著作隣接権については、国際条約の関係上、このような制度はありません。 |
未公表作品の著作権の譲渡を受けましたが、出版などの形で利用したいのですが、改めて、公表について著作者の同意を得る必要があるのでしょうか。 | 著作者と特段の約束がない限り、同意を得る必要はありません。 著作権法では、著作権の譲渡を受けた場合には、著作物の公表について同意したものと推定すると定められています(第18条第2項第1号)ので、一般的には改めで公表の同意を受ける必要はありません。 |
■演劇・美術 | |
舞台演劇を録画しようと脚本家から許可を得ましたが、劇団や俳優からも許可を得る必要がありますか。 | 劇団または俳優からも録画の許諾を得なければ、舞台演劇の録画はできません。俳優は実演家として録音権および録画権を持っています。演劇の場合はそれらの権利を劇団が管理していることがありますから、そのときは個々の俳優からでなく劇団の許諾を得れば足りることになります。なお、その舞台演劇に、脚本だけでなく、原作、音楽、絵画、レコードなどを利用しているとすれば、それらの権利者の許諾も合わせて必要です。 |
展示権は、美術の著作物又は未発行の写真の著作物の原作品の展示に及ぶ権利ですが、原作品とは何ですか。版画、写真、彫刻のように版木、ネガ、鋳型などがあればいくらでも作品ができるものはどうですか。 | 美術の著作物の原作品とは、本物の作品のことをいい、通常は、世の中に一つしかないわけです(例えば絵画)。しかし、美術の著作物の中でも、例えば、版画、鋳造品のように版木や鋳型などがあれば同一内容の複数の作品を作成することが可能な作品もあります。また、写真の場合も、ネガフイルムがあれば、同様になります。この場合、どの作品が本物かは区分できないことから、全ての作品が原作品と考えられています(複数の原作品がある場合、これらの作品はオリジナルコピーと呼ばれることがありますが、いずれも原作品として取扱われます。)なお、版木、鋳型、ネガフイルム自体は著作物を作成する道具に過ぎないことから、これらが原作品になるわけではありません。 |
ある詩人が書いた詩を書にして、展覧会に出品した場合、著作権の問題はありますか。 | 詩を書にすることは著作物の複製に該当しますので、著作権者の了解を得る必要があります。 個人的に著作物を利用する場合は、一般に私的使用のための複製(第30条)に該当し、著作権者の了解なしにできるので、例えば書道の練習のために他人の著作物を書く(複製)ことは問題ありません。しかし、質問の場合は、展覧会に出品するためですので、この特例の範囲を超えた利用と考えられます。なお、著作権の支分権の一つに展示権(第25条)がありますが、この権利は美術作品又は写真の展示の際に働くものであり、詩の場合は考慮する必要はありません。 |
■ビジネス | |
米国で大人気のゲームソフトの著作権を譲り受けて我が国で事業展開しようと考えていますが、米国の著作権者との交渉の結果、日本における複製権・譲渡権であれば、譲渡を考えてもよいということでした。複製権及び譲渡権に限定した著作権の譲渡は可能ですか。 | 複製権・譲渡権だけの譲渡は可能です。 著作権法では、著作権はその全部又は一部を譲渡することができると規定しています(第61条)。著作権の一部というのがどこまで細かく分けた一部なのかは議論の余地がありますが、少なくとも著作権法に規定された複製権、上演権、演奏権などのいわゆる支分権ごとに別けて譲渡するのは、問題なく可能です。なお、日本におけるという著作権の譲渡というように地域的に限定した形で譲渡する場合においても、どの程度地域を細分化できるのかという問題はあるものの、国ごとの譲渡については、問題なく可能です。 |
他人から著作権を預かって管理する事業をやりたいと思うのですが、何か手続きが必要ですか。 | 他人の著作権又は著作隣接権を、信託、取次ぎ又は代理の方法により、使用料の決定も含めて権限を一任されて管理する場合は、著作権等管理事業法の規制を受けますので、同法に基づく登録等の手続きを行う必要があります。具体的な手続きについては、文化庁のホームページを見るか又は文化庁著作権課にお問い合わせください。 |
ある企業ですが、市販の文書作成ソフトを一部購入し、企業内の100台のパソコンにソフトをインストールし使っていますが、著作権の問題はあるでしょうか。 | ソフトメーカ(著作権者)の了解がないのであれば、著作権侵害です。 文書作成ソフトはプログラムの著作物であり、パソコンへのインストールは著作物の複製行為です(第2条第1項第15号)。また、企業や団体内で業務のために著作物を複製する場合は、例え個々の従業員が自分で使うために複製を行っていたとしても、私的使用のための複製には該当せず、著作権者の了解が必要です(第30条)。市販のソフトは、通常購入した本人又は家族等の利用を前提としおり、質問の場合は、ソフトメーカ(著作権者)の了解の範囲を超えた利用と考えられます。 |
ある機械製造メーカーですが、内部の会議資料や執務の参考資料として、学術雑誌や経済・経営雑誌、専門新聞、一般新聞などの記事等を必要に応じ複写して配っていますが、著作権の問題はありますか。従業員の判断で複写する場合はどうですか。 | 企業内の会議資料や参考資料として、新聞・雑誌の記事等を複写して配布することは、著作権者の了解なしにはできません。また、従業員自らの判断で複写をする場合についても、業務用の複写は「私的使用のための複製」には該当しませんので、著作権者の了解が必要です(第30条)。 |
ある企業ですが、正規で購入すると非常に高価なコンピュータソフトの海賊版を密かに手に入れました。このソフトを会社のコンピュータで使用しているのですが、何か著作権の問題はありますか。 | 著作権侵害と同等の行為として取り扱われます。 著作権は特許の実施権に相当する権利がないので、コンピュータプログラムをコンピュータで使用することの権利はありません。しかし、海賊版のコンピュータ・プログラムの場合については例外的な取り扱いがされています。すなわち、海賊版プログラムを会社のパソコンなどで「業務上使用」することは、海賊版であることを知りつつ入手したときに限り、著作権侵害と同等に扱われます(みなし侵害 第113条第2項)。 |
ある情報提供企業ですが、関係の企業と契約して、当該企業に関係ある新聞記事を毎日コピーして配信したいと考えていますが、著作権の問題はありますか。 | 新聞記事の著作権者(新聞社、執筆者等)の了解が必要です。 新聞記事は、人物往来とか死亡通知記事などを除き(第10条第2項)、ほとんどは著作物に該当します。著作権法上、著作権者は、複製権や公衆送信権を有しています(第21条、第23条第1項)。公衆送信とは、放送又は有線放送のように同一の内容を同時に送信する場合だけでなく、利用者の求めに応じその人に送信する場合も含まれます。また、この場合、ホームページに掲載された著作物のように、利用者の求めがあれば自動的に送信される場合もファックス送信のように手動で送信する場合もどちらも公衆送信になります。なお、新聞記事については、新聞社の記者が執筆しているものは、通常新聞社が著作権を有していると考えられますが、それ以外の記事については、それぞれの執筆者が著作権を有している場合が多いのではないかと考えられます。 |
お店のCDプレーヤーでCDを店内のお客さんに聞かせていますが、著作権の問題はありますか。 | 一般に著作権者の了解が必要です。 著作権法上、CDによる音楽の再生は音楽の生演奏と同じ取り扱いですので、お店のBGMとして音楽CDを使うと、作詞家、作曲家等の著作権(演奏権)が働くことになります(第22条)。 |
お店のTVで放送番組を店内のお客さんに見せていますが、著作権の問題はありますか。 | 一般的に著作権の問題はありません。 著作権法上、著作権者は、著作権の一つである伝達権を有していますので、著作権者の了解なしに、放送・有線放送等の公衆送信される著作物を受信装置を使って公に伝えることができないことになっています(第23条第2項)。例えば、ビルの側壁等に設置された大画面の装置で放送番組を流すことがこれに該当します。しかし、放送又は有線放送される著作物を一般向けのテレビやラジオで受信してお客さん等に見せる場合は、それが営利目的で使われているとしても、著作権者の了解は必要ないことになっています(第38条第3項)。 |
社内で仕事上の資料として著作物を複製することは許されますか。 | 一般に著作権者の了解が必要です。 会社における業務上利用するためのコピー(複製)は、例え従業員個人が利用する場合であっても、著作権者の了解なしに著作物をコピーすることを認めた「私的使用のための複製」(第30条)には該当しないので、原則に戻って、著作権者の了解が必要です。なお、企業等の団体における複写について著作権を集中的に管理している著作権等管理事業者があり、その団体と契約すれば、当該団体の管理著作物について包括的に許諾を得られたり、著作物ごとに簡易な方法で個別に許諾を受けたりできる仕組みが整っていますので、必要ならお問い合わせください。 |
会社の業務に関係する新聞記事の関係部分の切り抜きをコピーして関係職員に配布することは、著作権の問題がありますか。 | 著作権者(多くの場合は新聞社)の了解が必要です。会社の内部における業務用のコピーについては基本的に無断でできないと考えてください。なお、(社)日本複写権センターという著作権の管理団体が新聞も含め企業等の内部コピーについて管理業務を行っています。 |
会社の執務資料とするために、市販の法令集(出版物又はCDーROM)から関係法令を抜粋し、資料集を作成しようと考えていますが、著作権の問題がありますか。 | 問題ありません。法令は著作物ですが、著作権法では保護の対象から除外しています(第13条)ので自由に使うことができます。ただし、民間の編集に係る法令集の場合、編集著作権は保護されますので、法令集の全部又は相当部分を使うときは原則として出版者等の了解が必要になります。 |
海外支社に赴任している社員のために、国内で放送された番組を録画して送る場合、著作権の問題がありますか。 | 会社の事業として実施する場合は、放送事業者や番組製作者の了解がないとできません。また、これらの権利者のほか、放送番組の中で利用された原作、脚本、音楽、実演、レコードなどの権利者についても同様です。なお、例えば、我が国に在住している家族が単身赴任の夫のために録画物を作成し送る場合は、一般的に私的使用のための複製に該当し、権利者に無断でできます(第30条第1項)。 |
建築の図面を元に建築物を建設し完成させた場合、建築の著作物の複製に該当しますか。図面にしたがって模型を作った場合はどうですか。 | 建築の図面を元に建築物を建設し完成させることは、建築の著作物の複製に該当します。ただし、この取り扱いは建築の著作物だけの特例ですので、図面を元に模型を作る行為は複製に該当しません。 著作物の複製というのは、著作物の有形的な再製のことをいいますので、既に建っている建築の著作物を模倣して、まったくそっくりの建築物を建てた場合、その行為が建築の著作物の複製に該当するのはいうまでもありません。しかし、この取り扱いを厳格に貫くと、建築の著作物が既に建っているときは問題ないのですが、図面の段階でコピーされ、誰かがその建築物を建てたときは著作権侵害にならないことになってします。そこで建築図面に基づき建築の著作物を完成することを複製に含む特例を設け両者のバランスを取っています(第2条第1項第15号ロ)。 |
市販のカット集に載っているカットは、ポスター等で自由に利用することができますか。 | 比較的簡単な図案で著作物とはいえないものを除き、市販のカット集にのっているカットをポスター等で利用することについては、原則として著作権者の了解が必要です。なお、市販のカット集については、説明書等に利用が可能は範囲について記載されているのが通常ですので、この利用条件の範囲内であれば自由に利用できます。 |
レストランの店内でインターネットを経由して海外の音楽番組を流していますが、何か間題はありますか。 | 音楽等の著作権者の了解が必要です。著作権には、公衆送信された著作物を受信して公に伝達する権利(伝達権)(第23条第2項)という権利があります。音楽番組をインターネットで送信することは、著作権法上公衆送信に該当しますので、番組をレストラン内で流すことは、伝達権が働くことになります。なお、公衆送信の中でもラジオ・テレビ放送やCATVのように、著作権法上放送・有線放送に該当する場合は、ラジオやテレビなどの家庭用受信装置を用いて店内で番組を流すことは自由にできます(第38条3項)。 |
このQ&Aは文化庁のサイトを参考にさせていただきました。