中小企業のための実用新案権基礎知識
実用新案とは
自然法則を利用した技術的思想の創作考案(アイディア)であって、物品の形状、構造又は組合せの保護をさします。特許権と違い、実体審査をしないで(無審査で)権利化、権利化まで短期間、費用が安いなどのメリットもありますが、無審査であるため権利行使には特許庁による技術評価書提出が要件となったり、保護期間が短いなどのデメリットありますので、権利化したい内容に応じて、特許出願と実用新案登録出願とを選択する必要があります。実用新案権を受けることができる考案(アイディア)とは
実用新案権と特許権
権利化したい対象物により、どの権利化が適切かを検討すべきです。
実用新案権 | 特許権 | |
権利化の 保護の対象 |
物品の形状・構造・組み合わせの考案(アイディア) ※アイデイアと言っても量産具体化できる考案 ※物の製造方法やプログラム、一定の形状や構造などを有しない医薬、化学物質などは対象にならない |
新規性、進歩性、産業上利用可能な技術思想 |
権利化と 保護の期間 |
出願から登録約4ヶ月 保護期間は出願から10年 |
出願から審査請求後30ヶ月 保護期間は出願から20年 |
権利化登録のための 審査方法 |
形式審査のみで、実際の審査を行わない | 審査あり |
トラブル時の 効力とは |
「実用新案技術評価書」を特許庁に請求して評価書を取得してから権利行使ができる。 ※無審査による登録が可能なため、実際に権利を行使するには、審査が必要 |
権利行使ができる |
権利化したい 対象内容の特長 |
・ライフサイクルの短い考案 ・技術の高度さから見て、特許取得が困難な案件 ・早く安く保護したい考案 |
・技術的に高度な案件 ・ライフサイクルの長い発明 ・模倣などのトラブルの可能性が高い発明 ・強力な権利行使をしていきたい発明 |
費用 特許事務所に 依頼しない場合 |
出願14,000円 登録(1〜3年)約10,000円 |
出願16,000円 審査請求料約200,000円 登録(1〜3年)約10,000円 |
実用新案Q&A
Q:美容機器メーカー会社のOL
「今までにないようなダイエット器具技術を思いつきました。その器具は独特な振動で腹筋運動ができるものです。とても新規性があると思いますが、それが実用新案なのか特許なのかよくわかりません」
A:実用新案と特許の違いは、実務上は、無審査で登録するか、審査を経て登録するかの違いです。すでに公開されている技術権利を調査し、特許性がありそうであれば特許を選択し、特許性が難しそうな場合は実用新案を選択するのも一つの方法でしょう。
Q:文具メーカー社員
「紙しか切れない安全な子供用のはさみを開発しました。刃の部分に特徴があります。会社で実用新案の出願をしました。その後、もう少し調べてみると、そのアイディアは特許出願ができる可能性があるのでは考えております。これからでも特許を検討できるのですか?」
A:特許庁へその案件の内容を評価してもらう「実用新案技術評価書」の請求を行っていないなど、一定の条件を満たせば、出願から3年以内であれば、特許出願に変更できます。
Q:美容雑貨メーカー経営
あごの運動で顔のトレーニンググッズを開発。
あごの運動で顔のトレーニンググッズを開発。
「実用新案登録してる弊社の「小顔になれるマッサージグッズ」と似た商品をみつけました。販売をやめてほしいのですが、どのようにすればよいですか?」
A:実用新案の登録は「無審査」で登録されるため、トラブル時などその権利を行使したい場合は特許庁へ「実用新案技術評価書」を提示し、判断してもらいます。その内容が新規性や進歩性があるかなどが判断基準となります。
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